Ⅹ. 中位20%の平均勝ち点から下位20%の平均勝ち点を差し引いたときの数
さて、最後に中位20%から下位20%の勝ち点を引いた数のランキングを見て行こう。
20チーム制を例に挙げるなら9~12位の平均勝ち点から17~20位の平均勝ち点を引き、それを試合数で割った数。それを7シーズンそれぞれで計算し、その平均値を算出する。
中位と下位の間において、1試合おきにどれほどの勝ち点差が開いているのかを確かめる。
(中位20% - 下位20%) ÷ 試合数 といった計算を用い、数の大きいリーグほど上位に行くランキングである。
それでは10位から見て行こう。
中位20%の平均勝ち点と下位20%の平均勝ち点を差し引いたときの数
10位 0.748
🇪🇪メスタリリーガ(エストニア)
9位 0.753
🇬🇪エロヴヌリ・リーガ(ジョージア)
8位 0.759
🇫🇯フィジー・プレミアリーグ(フィジー)
7位 0.762
🇦🇲アルメニア・プレミアリーグ(アルメニア)
6位 0.779
🇱🇹Aリーガ(リトアニア)
5位 0.792
🏴ウェルシュ・プレミアリーグ(ウェールズ)
これまでのランキングで3度上位に顔を出しているウェールズのリーグ5位となった。
このランキングは最下位の勝ち点ランキングと深い相関関係にあるため、最下位ランキングで上位に位置したリーグはこのランキングでも上位に位置することになるだろう。
これほどの上位に位置した理由は正直分からない。
ただウェールズは12チーム制であり、20%は全体の2チームという扱いとしている。
つまり、最下位の勝ち点の低さの影響は大きく受けるのである。ウェールズは最下位の勝ち点ランキングで6位。この5位に位置したことに関しての意外性はまったくもってない。
4位 0.798
🇱🇻ヴィルスリーガ(ラトビア)
まだランキングで1回しか顔を出していないラトビアのリーグが意外にも4位に入ってきた。
ラトビアのリーグは上位争いは結構な混戦模様となるのだが、どうにも下位の争いはFKメッタを中心に展開をされているように感じる。
FKメッタより上の順位に位置するクラブは残留を果し、それより下のクラブは降格をする。
まさに降格ラインの門番的役割をしている。こうしたはっきりとした下位の存在は、中位と下位に大きな溝が存在していることの証左であるともいえる。
3位 0.911
NIFLプレミアシップ(北アイルランド)
4位と大きな差を北アイルランドのリーグが3位につけた。
7年連続上位50%に入っているクラブで4位となっていることからもわかる通り上位陣はしっかりと安定している。だが、このリーグにはもう1つの側面が存在している。
それは下位の2チームの勝ち点が異様に低くなることである。
なぜそのようになってしまうのかははっきりとわからないが、下位半分に入るクラブは毎回似たような顔ぶれとなっているのは要因の一つとして考えられるだろう。
そしてこのリーグは上位と下位の差があまりにも大きなものとなっている。
それゆえ、下位のクラブとなるクラブに対して、取りこぼしなく勝つことが重要となる。
こうした側面もあるいは、リーグ内の勝ち点の差を広げる要因となっているのかもしれない。
2位 1.036
🇭🇰香港プレミアリーグ(香港)
最下位の勝ち点ランキングにおいて首位となった香港のリーグが2位となった。
香港のリーグも北アイルランド同様、上位と下位の格差は大きいものとなっている。
すでに最下位ランキングにおいて長々と語っているため、これ以上の説明すべきことは思いつかない。ただ、最下位の争いと優勝争いは意外と熾烈な争いとなるため、実はそこそこ面白いリーグともいえる。
1位 1.044
🇰🇬キルギス・プレミアリーグ(キルギスタン)
というわけ最下位はキルギス・プレミアリーグとなった。
最下位の勝ち点ランキングで3位となり、他のランキングでも香港同様、上位に食い込んでいるため、1位となったことに意外性はない。
そして香港のリーグ同様、これまでのランキングで長々と語ってきたため、これ以上説明することはないだろう。
ちなみにキルギスのリーグに関してはyoutubeでライブ配信がされていたりする。興味があれば観てみるとよいだろう。ちなみに8月27日時点では、18試合ほど消化して、1位が2連覇中のFCアブディシュ・アタ・カント、2位がFCドルドイ・ビシュケクとなっている。勝ち点差は8である。
今年もFCアブディシュ・アタの優勝が濃厚のようだが、2018~21年の間に4連覇を果たしていたFCドルドイが巻き返せるか、気になる所である。
ということで、リーグ内格差ランキングは以上で終了となる。
長々とした本記事に付き合っていただいたことに、感謝いたします。
当を得ているのかは分からないが、このランキングを通して個人的に思ったことがある。
それはリーグの規模が小さくなる中小国においては大陸大会がかなりの大きな存在となるのではないか、ということである。
ブルガリアのルドゴレツであったり、モルドバのシェリフであったり、クロアチアのディナモ・ザグレブであったり…。
これらのクラブはいずれも連覇をしており、なおかつ、所属するリーグの規模は欧州5大リーグに比べると、小さなものである。
そしてさらに共通していることを挙げるならば、これらのクラブが所属するリーグはいずれも、優勝をすればチャンピオンズリーグの予選に出場する権利を持つのである。
このチャンピオンズリーグを主宰するのは、サッカー連盟である、UEFAである。
2022年のカタールのワールドカップにおいては、放映権料が高すぎて日本で放送できないかも問題が浮上したことを覚えているだろうか。
21世紀に入ってから、爆発的も言えるほどに放映権料が高騰を続けている。
この放映権料の高騰は当然ながら、収益を上げることとなる。
その収益は殆どが、サッカー連盟へと入っていくのである。
さて、UEFAチャンピオンズリーグにおいても、放映権料はもんのすごい勢いで高騰をしているわけであり、その恩恵はとてつもなく大きなものとなっている。
UEFAは得た額の一部を大会の賞金にも使うわけだが、収益の増加に伴い、大会の賞金もどんどんと吊り上がって行っているのである。
本大会出場に伴う賞金は、2011/12シーズンにおいては、390万ユーロであったが、2023/24シーズンには1564万ユーロとなっている。
勝利報酬や優勝賞金などの吊り上がり方も同様だ。
これほどまでに得られる賞金は増えている。
つまり、チャンピオンズリーグに出場する恩恵は21世紀初頭と現在では、天と地ほどの落差があると言ってもよい。
さて話を戻そう。例えば、日本のサッカーリーグであるJ1に比べて規模が10分の1ほどのリーグがあったとしよう。リーグでトップレベルの活躍をしていても払える金額は年収おおよそ1000万円ほど。強い選手を迎え入れるために払える移籍金もせいぜい3000万円ほどだ。こんなリーグのとあるクラブに、ある日突然20億円もの額が舞い込んできたら果たしてどうなるだろうか。
…答えは一つ。バランスが崩壊するのである。
これがあるいは中小国のリーグに起こっているかもしれないのだ。
といってもこれはあくまでも想像に過ぎない。実際はもう少し話は複雑かもしれない。
だが、大陸大会に出場するだけでも、中小国のクラブにとってはあまりにも大きなものである、というのは確かであろう。
今のUEFAやFIFAのやり方では、一部のクラブに経済の流れが集中してしまうのではないか…と思ってしまうのは、少々私の想像の行き過ぎだろうか…。
まとめるつもりが、とんでもない自己主張となってしまった。
ちなみに、次の記事は集めた105か国のリーグのデータをすべて見せる形にしたいと思う。折角いろいろまとめたのに、なんかもったいないので。
では、また。